親コンプレックス

 

 

  「産まれてこないほうがマシだった」と目の前で泣き叫んでやりたい気持ちと、私のことを愛しているその人を傷つけたくない気持ちで、めちゃくちゃになります。私は結局なにも言えず、言わず、コミュニケーションを放棄して、自分の部屋にこもって布団をかぶりひとりで声を殺して泣くだけです。そして泣きながらも、裕福とまではいかなくても借金さえなければ、とか、一刻も早くこの家から出ていかないと頭がおかしくなる、とか考えて、それでも最後にはどうすればあの人たちをしあわせにできるかと頭を過ぎります。私は突き放すことも、愛情をそそぐことも、そのふたつのバランスをとることもできずに、この苦しさがわからなくなるくらい薄くなるまで、現実逃避にただただ時間を費やすだけです。時間は解決してくれないとはっきり理解しつつも、あの人たちとの衝突をどうにも拒絶して、今日もまた、いつもと同じ夜です。